皆様お久しぶりです。ヒクイナの声を聞きながらブログを書いている大原です。
さて、活動自粛期間中は閉鎖されていた葛西海浜公園ですが、その期間中の5月17日(日)に絶滅危惧種のコアジサシの営巣が確認されました。そして5月29日現在も営巣は続いています。その数、60巣以上!。どこで営巣しているかと言うと、なぎさ橋を渡った東側です。
( コアジサシの東側保護区 2020.5.29 )
営巣数が多いのは、波打ち際に貝殻が堆積したエリアです。おそらく40巣以上あります。最初に確認された巣もこのエリアで、順調に抱卵していれば6月上旬には誕生します。
ただし、このエリアは安心できません。貝殻が堆積しているということは、潮を被る恐れがあります。大潮の満潮時に強い南風が吹かないことを祈りましょう。 その心配が少ないのは、少し高い場所にあるエリアです。先週末まで営巣数は少なかったのですが、海浜公園の方にコアジサシ誘致用に「白い砂」を用意していただき、それを撒いてから営巣数は増え、現在は20巣ほどになりました。 あっ、その数日前に、吉田くんが波打ち際の貝殻を一生懸命集めて撒いてくれていたのを忘れていました。吉田くんと会う機会がありましたら『よくやったね』と褒めてあげてください。思い出したらで構いません。後輩いじりはほどほどにして、このエリアには今日もコアジサシたちがよく降り立っていたので、今後営巣数は増えそうです。
ここまで順調に営巣しているように思えますが、そうでもありません。なぎさ橋の西側でも約30巣見つかりましたが、ほぼすべて失敗しました。カラスに卵を食べられたり、波にさらわれたり、人に踏まれてしまった巣もわずかながらありました。
皆様にお願いです。保護区の面積は過去10年間で最大の広さです。そのため『コアジサシたちとの距離が遠いなぁ』と思っても、保護区に近づき過ぎないようにご注意ください。コアジサシが近くに降り立っていないだけで、じつは保護区から近い場所で卵を温めている番(つがい)がいます。もし、近くにコアジサシがいなければ、保護区から少し離れ、できれば座って観察してください。
でも一番のお願いは、公園にお越しの際にはコアジサシを観察してください。保護区内にコアジサシがいない時に『何もいないから入っていいかな』と人が保護区内に立ち入ってしまうかもしれません。保護区周辺で観察する人がいたら、そうは思いにくいはずです。自然好き・野鳥好きな皆様の観察する姿が抑止力になります。このブログをご覧になって『コアジサシを初めて知ったよ』という方は、ぜひ一度コアジサシの姿を観察してください。卵を温める姿や、獲物を獲るときに空中から水中にダイブする姿はカッコイイですよ。
※3密は避けての観察をお願いします。
長くなってしまいましたが、西なぎさで繁殖するコアジサシの観察を通して「野生生物」と「人」が共存する良い場所だなっと感じてもらえると嬉しいです。
( 今年の保護区は干潟域を含みます。東側は野生生物のため、西側は人のため 2020.5.29 )