ご報告が遅くなりましたが、8月28日(火)、西なぎさに設置していた保護区を解除ました。5月17日から100日以上もの間、コアジサシ保護のために西なぎさの一部を立ち入り禁止にすることができたのは、葛西海浜公園職員の方々、コアジサシを温かく見守って下さった皆様のおかげです。ご協力・応援ありがとうございました。
( ロープを外す様子・・・作業に協力してくれたC大学の学生 2012.8.28 )
■今年のコアジサシの繁殖について
最初の営巣が確認されたのは5月24日です。営巣数は5月27日:15巣、6月1日:25巣、6月10日:68巣(放棄巣を含む)と増え続け、6月14日には待望の雛が誕生しました。ベビーラッシュを期待しましたが、コアジサシたちには困難が持ちうけていました。
最初の危機は台風4号。高波により一部の巣が流されました。それでも雛は生き延び、抱卵も15巣以上で続きました。コアジサシは予想以上に逞しかったです。
( 台風4号の影響で高波に流された卵 2012.6.24 )
台風後も営巣数は順調に増え、保護区内で見つかった営巣数は137巣に。それにもかかわらず、今年西なぎさで巣立った雛はわずか5羽でした。巣立った雛が少なかった原因は、始めに孵化した5羽以降、しばらく孵化が確認されなかったためです。おそらくその原因はコレ。
( 穴のあいた卵 ※数字はNO.87の巣でみつかったことを示してます )
小さな
穴のあいた卵が40個以上も見つかりました。このことを、森ヶ崎でコアジサシの保護活動に長年取り組む
NPO法人リトルターン・プロジェクトさんに相談すると、別の巣のコアジサシによるものではないかと。調べてみると、穴の大きさとコアジサシの嘴サイズが一致しました。また、コアジサシが他の卵をくわえて遠くに運ぶ様子を観察しています。ただし、コアジサシによる卵のつっつき行動は目撃していません。
来園者の方で、コアジサシによる他の巣の卵への穴あけ行動を確認されている方は、ぜひ鳥類園スタッフにまでご連絡いただければ幸いです。
( 繁殖期後半に誕生した雛 2012.8.5 )
7月下旬から、再び孵化が確認され始めましたが、いずれも飛べるようになるまで成長しませんでした。カラスやチョウゲンボウに襲われたものと考えています。
結果としては、昨年を下回る巣立ち数でしたが、2年連続でコアジサシが繁殖したことは、葛西海浜公園・西なぎさが、コアジサシに残された貴重な繁殖地であることが言えるのではないでしょうか。
コアジサシに貴重な繁殖地で在り続けられるように、来年も保護活動を続けていきます。皆様のご協力の程、何卒よろしくお願い致します。(大原)